第51章 独りの行方
「……」
瑠璃はフッと目を開けた。
「……」
外では無かった。
バタバタバタバタ〜
キャハハハ〜
走ったり笑ったりの音が少しずつ大きくなってきた。
瑠璃の意識がはっきりしはじめたからだ。
「こらっ、静かにしなさいって言ったでしょ」
女性の声が聞こえた。
「起きちゃったかな⁉︎」
ソロソロと気配が近く。
「わっ!
母ちゃん‼︎
起きてる‼︎」
「お姉ちゃん、目ぇ開けた〜っ」
パチパチと手を取り叩いて喜ぶ子供は、瑠璃の横でドンドン跳ねている。
「本当かい?
アンタ達っ、病人の横で飛び跳ねんじゃないよっ」
子供との母親が慌てた声と共に瑠璃の傍にやって来た。
「お嬢さん、気分はどう?
話は出来る?
名前は?…あっ!まだ起きあがっちゃ駄目よ」
瑠璃は身を起こそうとして止められた。
止められなくても起き上がれはしなかったのだが。
「アンタ
川岸に打ち上げられてたのよ。
死んでると思ったんだけど…生きてて良かったわ」
「俺が見つけたたんだぜ!」
「あたちも見つけたもん!」
「登ってくる魚を取ろうと行ったら、
この子達が、女の人だ!って言うから何の冗談かと思ったのよ」
ボロボロで横たわる女を助けてくれた。
(生きてる……)