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《イケメン戦国》未来から来た戦国姫

第50章 前方の敵




「さて…どうしてやろうか。
貴様を人質にした事を伝えても、伊達は此方に付くとも停戦とも示して来ない。
書状に返事さえよこさぬとは何事かっ」
敵将は苛立って、貧乏ゆすりをしている。
瑠璃を交渉の人質にとって5日が過ぎた。
書状に返事がないのは、舐められたと思われてもおかしくない。


「お前も見限られたと言うことだ」
矛先を瑠璃に向け、瑠璃を嘲笑う。

「見限るもなにも私は政宗の何でもありませんから」
嘲笑われても、瑠璃も負けじと言い返す。

ろくな物を与へられていないせいで、
やつれた様子だが声にはまだ力があった。

大崎氏は顎を撫でながら考える素振りをみせる。

「煩くするならその喉掻っ切るか、嬲り殺すぞ?それともーー…」
砦の部屋の端に重りをつけた縄で括り付けられている瑠璃を見て、大崎義隆は再びニヤリと笑った。
「お前を娶(もら)い、伊達とも同盟関係を結ぶのも悪くないな」
「なっ…」
青ざめる瑠璃を見て大崎氏は嘲笑を深くする。
ククク……
「安心せい。ワシではなくワシの倅にだ」

ただ瑠璃も黙っていない。
「ワタクシは政宗の許嫁でもありません。
それに、そのほかの後ろ盾もありません」
瑠璃は出来るだけ、自分は何の役にも立たない事を知らせ(アピール)る。
しかし、
「それだけの美貌なら後ろ盾などなくとも、使い道はある」
大崎氏は瑠璃を嫁に取った後、
何処か利のある家に嫁がせでもしようと考えているようだった。


大崎氏の狸のようなゴロっとした眼が瑠璃を見て、瑠璃は口惜しそうに奥歯を噛み締めた。





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