第49章 後方の敵
「………」
書状を読んだ政宗は其れを小十郎に渡す。
「皆に回せ」
溜息混じりの声でそう言うと、項垂れた野良猫2人に向き直った。
「俺はお前らに金を握らせた奴等と戦をする。
勿論勝ちに行く。
同盟交渉などしない。
停戦もない。
伊達軍の勝利のみを目指す。
お前達はどうする?野良に戻るか、それとも俺と来るか」
静かだが殺気と闘志の漲る政宗の声。
「俺は俺の大切な者を取り戻しに行くが、
お前達は兄貴とやらの弔い合戦はやらねぇのか、と聞いてる。
やる気があるなら、ついて来い」
政宗の言葉に野良猫2人は顔を見合わせ、
そして、真剣な顔で頷いた。
翌朝から伊達軍は黒川氏の居る城へと大崎氏がいる中新田城への経路を分け、静かに侵攻を始めたのだった。