第48章 戦前月喰らうーR18ー
戦に出る。
「3日後ですか」
こんな思いはもう何度目だろうか。
溜息を吐くわけにもいかない。戦は政宗のせいではないのだから。
心配そうにするのも瑠璃は嫌だった。
結局、無感情に言葉を発する事になった。
瑠璃の目の前の政宗は既に殺気立って見える。
兵を招集し、戦略を立て、武器を扱えば否が応でも気が立ち、昂って休まらなくなるのだ。
「瑠璃、暫く会えなくなる」
(…私を置いて行くつもりなんだ…)
「…はい…」
(嫌やな…)
瑠璃はあえて硬い声音で返事をした。
本当は「いつ終わる?」と聞きたい。
(聞いたって戦に期限なんてあるわけない)
聞けるわけない。
本当は「何で置いてくの?」と言いたい。
(危険だからに決まってる…でも…)
言ってもいいか、どうしようか迷う。
ひとり迷っていると
「瑠璃」
冷たい声の政宗に呼ばれ、腕を強く引かれた。
「俺を目の前に置いて、何考えてんだよ」
あっという間に政宗の腕の中に捕らえられていた。
「考えてるのは俺の事か?
それとも他の事か?」
今にも襲いかかりそうな凶暴な瞳が瑠璃を見下ろしてくる。
その瞳に瑠璃はそっと息を飲む。
「考えるなら俺の事だけにしろ」
平素より雄々しい。
(交戦的や)