第46章 道中
「らしい?薬湯か」
「おう、俺ら酔わねえから飲んだ事ねーんだわ。でも、酔う奴が効くって言ってたからな、効くんだろっ。
ガハハハハ」
豪快に笑う船の親方を見て眼を丸くする政宗。
「なるほど…」
瑠璃は妙に納得していた。
薬湯が効いたのか、それとも揺れに慣れたのかその日から瑠璃の船酔いは軽くなり、少しずつ元気が戻った。
回復した瑠璃。
気分の本調子を取り戻す政宗。
奥州へ向かう旅は、楽しく、とはいかないも、少しずつ順調に進み始めた。
船から降りると本調を戻した政宗に振り回されるも、瑠璃もなんとか食らいつき、
野を駆け、川を渡り、山を越え、ようやく陸前に到着した。
20日以上過ぎていた。
「北へ行く船は時間がかかりましたね」
「潮目や波の具合もあるからな」
「大変だったけど、それもまた悪くないと思いますが、本番はこれから、でしょう?」
「だな。行くぞ、瑠璃っ」
覇気のある掛け声と共に政宗は馬の銅を蹴った。
瑠璃も大きく息を吸って、政宗に馬を続けた。
平らかな大地に待つ青葉城は直ぐ其処。