第45章 兆報
「誰がだ」
「ですから、元就と帰蝶です」
「意味がわからん」
謙信が佐助と問答をしていた。
「御館様、それは本当でございます」
「兼続…貴様いつ戻った」
「今しがたにございます。
その影響はこちらにも及ぶかと思われます」
紫を含んだ淡墨の瞳が冷たく謙信を見る。
咎めたところで「謙信様の為に」と言うのは察するより易いので、謙信は何も言わなかった。
「元就が大砲、鉄砲などを買い集め、
安土に向かう手筈を立てた模様。
その手始めに舞鶴、侵攻予定です」
兼続から物騒な報告が続く。
「貿易港を抑えるつもりでしょうか」
「あり得る」
「元就は瀬戸内の水運を抑えているからな。
北回りを止め、堺、瀬戸内に物資を卸させる利点はあります」
「そうか…」
兼続が硬い声音で言っても、謙信は差し迫った様子を見せなかった。
「何?
元就が?誰と組んでいると?」
同じ頃、謙信と似た台詞を信長も口にしていた。
「帰蝶に御座います」
光秀が報告をしていた。
「……光秀、お前は坂本に帰れ」
「はっ」
「残るものはーー……「失礼致します」」
信長の声を遮って、使いの者が入ってきた。
「政宗様、こちらを」