第43章 最近の姫の日常(R18)
朝起きると身支度をして徳川御殿に出掛ける。
「おはよう瑠璃」
「おはようございます。家康様」
待っていた家康ときっちり直角の正しい挨拶を交わすと、瑠璃は家康の前に立つ。
「形から空引き」「はい」
「終わったら20本」「はい」
家康は壁際に座ると黙って瑠璃の弓を弾く姿を見ていた。
「外に出るよ」「はい」
乗馬の練習かと思えば、短刀での受け方を教わっていた。
「適当に斬り込んできて」
「はい!」
瑠璃の真剣な銀鼠色の瞳が家康を射抜く。
キィンッッ!
刃が刃を捉えた。
「ッッ」
瑠璃がぐっと力を込める。
「そう…この構えから、こう受けて…流す。
いい?俺の取った姿勢見えた?」
「こう…です、ね?」
「うん、そう、その構え、その体勢で、受けるんだ」
「はい」
「あ、それから、しっかり足踏ん張って。
踵に体重乗せること」
「はい」
「それじゃ、しっかり俺を受け止めて」
ドキッとする言い方と、その瞳。
真っ直ぐに瑠璃を見て、碧の瞳が冷めて煌めいた。