第2章 政宗と姫の或る日 其の壱
政宗はいつも瑠璃を構いたい。
瑠璃がコッチに戻って来てから、
尚 構う様になっていた。
居なくなってみて気づいた。
もの凄く大切にしていたんだってこと。
心の隙間に上手く入り込んで、自分の足りない部分を瑠璃が埋めていたんだ、と政宗は気付いた。
御殿では大体、政宗の手の届く場所に居る。
今日も文を書く政宗の部屋で瑠璃は三成に借りた書物を見ていた。
「読めるか?」
「草書体はまだ解らない所もありますけど、
おおよそ、文章は理解出来ます」
瑠璃には草書体はまだまだ難しい。
「最初の頃より、読めるみたいだな」
政宗が自分の事のように、嬉しそうに優しく笑う。