第34章 書庫での哀苛(R18)
信長に腕を強く引かれ、瑠璃の軀が揺れ、バシャっと寄りかかった処は、信長の胸。
すっかり 腕の中、膝の上。
「信長様、急ぎの用とか」
恭しい政宗の声。
瑠璃は湯の中で冷や汗気分だ。
「入れ」
「はっ」
ガラッと戸が引かれた。
頭を下げて入ってくる。
「何用でしょうか」
「うむ…見ろ」
「は?…はぁぁ?」
信長の言葉通り顔を上げた政宗は、
目玉をひん剥いて二度見すると、素っ頓狂な声を上げた。
…暫く間があって
「瑠璃…何やってんだ💢」
信長の前であろうがなかろうが、関係ない。
政宗が怒りを露わにする。
瑠璃は釈明しない。
代わりに、信長が口を開いた。
「そう怒るでない。
コイツが泣いていたので、慰めてやろうと思ってお前を呼んだのだが……
コイツが泣いたのは貴様の所為であろう?政宗」
ニヤニヤと意地悪な顔で政宗を挑発する。
(泣いた?…)
政宗が予想もしなかった事だった。
信長の挑発に、政宗が怒りを消した。