第30章 奥州からの一行
「折角、遥々 政宗に逢いに来たのだ、
気が済むまで滞在してゆくが良い」
信長は後方真正面の瑠璃を見据えながら、姫へ言葉を掛けた。
「美弥、城内を案内してやれ」
信長が腰を上げれば、姫を初め、広間の全員が頭を下げた。
美弥は言われた通り、藤隆姫を連れ城内を回っていた。
「藤隆姫はおいくつですか?」
「17になります」
(17〜っっ)
まだ幼さが残る笑顔が美弥には眩しい。
瑠璃程ではないが、藤隆姫も十分に綺麗だ。
幼さが残るので可愛らしいと表現しても良いだろう。
白い肌に、それほど高くない鼻梁に少し細い眼は日本美人。
礼儀作法もキチンとしている。
身のこなしもゆるりとした様子も美弥から見れば間違いなくお姫様だった。
(それでもお嫁に行ってないのって…)
「17にもなって嫁ぎもせず、父が心配しておりまして…」
(この時代早婚だし…それで政宗に?
それとも、政宗が好きだから?)