第30章 奥州からの一行
ある日の午後、
秀吉は信長に呼びつけられていた。
「秀吉、今日、来客の予定があったか」
「いえ」
「申し忘れではなかろうな」
「いいえ、ございません」
信長の試すような問いに、秀吉は慎重に返答する。
「が…何か御座いましたか?」
「ぅむ…こちらに来て見ろ」
「あの一行は」
廻縁に出て、信長愛用の遠眼鏡を覗いた秀吉。
「知らぬ。知らぬからお前に問うておる。
貴様も知ぬなら、全員集めろ」
「はっっ」
鶴の一声で、全員が広間に集められた。
「俺は知りませんよ」
「わたしも心当たりはありません」
「お前の事だから、忘れてるだけじゃないの?」
家康が三成を突っつきながらクチグチ言ってる。
そんな頃、
城下を来ていた一行は安土城、黒金門まで来ていた。