第28章 狐の残謀と逃げる兎
「瑠璃、貴様は先に逃げろ」
「でもっ」
「将軍は俺を殺したいだけだ。
だが、殺されてやる訳にはいくまい?」
ニャッと悪くも、冷たい笑を浮かべたて見せた信長。
「…解りました。足手纏いにはなりたくありませんから」
瑠璃はすんなりと、
表面上はすんなりと理解を示した。
「お前は良い子だな」
政宗が褒めて、猫をあやす様に指先で瑠璃の頬を撫でた。
そんなちょっとした間でも、甘く溶けそうな眼差しを瑠璃に向ける。
「お前を危険に晒したくないだけだ」
「解ってますよ」
ウフフと瑠璃も甘く笑って応える、が…
(本当に解ってんのかよ)
政宗もお見通し。