第27章 遠くの近く
「帰蝶とあの男…
誰だったんだ…それに、何のために…」
2人の居た方向を睨みつけたまま呟いて、
秀吉も其処から背を向けた。
それから、秀吉は城壁修繕の指示出しに追われた。
全て毒、と言う瑠璃の言葉を受けて、
急いで庵の裏手に出る。
モクモクと白い煙に少しずつ覆われてゆく庵。
だが、
「火が出る気配はないな」
「て事は、やはり、毒で」
「だろうな」
信長と政宗は状況を目認する。
2人は特別思案心配などなさそうにしているが、
「囲まれてます…」
瑠璃が呆然と言った。
「ん?何処が」
政宗が眼を丸くして瑠璃を見る。