第25章 強く在れ
「香合わせ、行くんだったら政宗と行きたい。
誰と一緒でも問題はありませんが、政宗とが良いな」
と言った瑠璃に懐柔された政宗が、
香合わせに行く事を了承した。
そして、もう一つ、
「今川義元が来るのなら、
俺は絶対行きませんよ」
光秀の斥候からの後日の知らせで、
今川義元も呼ばれていると聞いた家康が、
ピシャリと心の扉を閉じた。
(家康様…)
今川義元…
没落した今川家。
俺を育てた家。
他人の家で、陰で妬み嫉み、
罵詈雑言を言われ辛酸を飲んだ幼少期。
強くなろうと努力した少年期。
義元は義元だ。
俺が毛嫌いする今川の当主はもういない。
だから、ヤツには関係ない。
けれど、俺の幼少期を知っているヤツには会いたくなんて、ない。