第23章 朝話合い事
「…じゃぁ…お前が危険な目に遭うってわかってて、『行かせてます』って俺が簡単に承諾出来ると思うのか?」
政宗は瑠璃を鋭く睨みつける。
「まぁ、政宗が言うのももっともだな」
信長は同調する。
が、瑠璃は澄まし顔で、眼を逸らしもしない。
そして、
「嬉しい、ですよ、政宗…」
さも、恥ずかしそうに、照れてはにかむ瑠璃。
見てる方が照れそうだ。
実際、秀吉が真っ赤になって顔を逸らし、
美弥も三成も顔を赤くしている。
(ぅっ…その笑みは…)
(出たっ、政宗さんを落とす鉄壁の笑顔)
「…俺の瑠璃なら、大丈夫だ。
って言ってくれたら、もっと嬉しい、です…。
それに、何かあっても政宗が守ってくれるでしよ?」
上目遣いで、チラッと見られ、
政宗はぐぅの音も出ないで、詰まった。
クッククク……
光秀が喉を鳴らす。
そして
「政宗、貴様の負けだな」
信長に言い切られた。
(クッソォ、負けだ、負けだ、負けだっ)
「勝手にしろっ!」
政宗はそう言い捨てて独り先に出ていった。
「瑠璃さん…政宗…」
美弥が心配そうだ。
「大丈夫、
言い負けて悔しがってるだけです」
ニッコリと余裕の笑みを見せた瑠璃だったけれど、
(後が怖いな…)
苦笑していると、光秀と目が合った。
「ご愁傷様、だな」
見透かされた挙句、愉快そうに心にも無い哀悼の言葉を労われた。