第23章 朝話合い事
光秀の話では、ただの香合わせの招待ではなさそうだ…と言う。
「でも光秀さん、場所は二条城でしよ。
謀(はかりごと)なんて」
陰謀、目論見がある。
そうでなければ、突に香合わせなど開くはずがないのだ。
「さて、問題は誰を連れて往くか…」
「香…家康が行け」
「秀吉さん、なんで、俺が行かなきゃならないんですか」
(ものすごーく、嫌そうですけど…)
「お前、香とか漢方とか好きだろう」
「それなら、政宗さんでいいでしよ。
ああ見えて、意外と嗜みますよ」
「意外とってなんだよ、家康」
何とかして突っぱねようとする、家康。
「瑠璃は行かせない。
美弥が信長様と行けは良いだろ」
政宗はなんとか瑠璃を行かせまいとする。
「美弥となら、絶対に行きませんよ」
「あー…もう、どうすりゃ良いんだ」
美弥とは行きたくない家康との攻防に、
秀吉が頭を抱えた。
「私が、香の種類を覚えれば良いんですよね?」
美弥がフニャっと笑って口を挟んだ。
この困った状況を理解していないのは、
おそらく、美弥だけだろう。
「美弥、お前は香を覚えられるか?」
クククク…信長は可笑しそうに笑う。