第20章 嫌ワレ毛虫来客ス
佐竹氏は敵とは言え、昔から知っているから、
私の知らない政宗を知っていて、
戦をしていない時であれば政宗も、
昔の懐かしい話が出来るただの知り合い。
私の知らない事を知っていて、
話して、笑ってー…そうだ…
(政宗は隣に居るのが私じゃなくても、
楽しく笑って生きていけるんだ)
そう思った途端、胸がぎゅぅぅーっと締め付けられ、壊れそうになった。
(不安)
今まで人に対して持ったことのない感じの不安。
言葉を交わさない度、
顔を見ない度、
放って置かれる時間が長くなるほど、
(モヤモヤした…何か。
グチャグチャした、何かが…)
何だろうか。
何かに似ている…それは……
くしゃくしゃに握り丸められた白い紙。
そして、そこに落ちる、水滴ー…。
水滴はキラキラした透明なものだった。
それから毎日少しずつ濁って、
透明から水色、
水色から青に、
青から灰色、
灰色から擦り始めの墨色に変わった。
少しずつ、少しずつ、
その色は、知らないうちに濃くなってゆく。
そんな感覚ーーー…。