第1章 序章
私は突然、焼け野原の
地獄のような景色を目にしていた。
500年前の戦国時代にタイムスリップしたなんて、
どう考えても現実味がなかった。
けれど、現実だった。
助けてくれた彼は私の中に
無遠慮なくせに配慮をもって踏み込んで来た。
強く美しく作ってきた私の弱さを
いとも簡単に暴き、慰労し
私が私であって良いのだと教えてくれた。
私は彼と生きて行くと決めた。
彼の為ならこの命、惜しくないと思うほど、
大切な存在。
厳しい戦国の世でも楽しかったのに、
突然、現代に戻された。
泣いて泣いて、いつもどこでも彼を考えた。
彼の事しか考えられなかった。
まだ冬の新春の風は
私の決意を汲み取ってくれたのか、
もう1度、彼の前に私を連れ戻してくれた。
もう2度と離れない。
繋いだ手は決して離さない。
この人を正しく、生かす。
そして、2人でこの乱世を
笑って生き抜くんだ。