第1章 序章
お前は俺の前に突然現れた。
精錬とした白い女神に見えた。
俺を救い、癒し、導いてくれる
かけがえの無い美しい女神。
ずっとそばに居るはずだったのに、
また突然 消えた。
そして気付いた。
お前がいなければ、
闘い生き抜く意味もない。
荒寥としたこの世に独り、
彷徨い無意味に生きている……
そんな怠惰に、戦に明け暮れる月日を
2年も、過ごした。
春の風が連れて戻った。
月の様に 冴えて冷たく、それでいて淡く暖かさを感じるような美しい女。
時に春の朝陽のように柔らかく微笑んで、
人を魅了してゆく。
蠱惑の女神が再び俺の腕の中に戻って来た。
もう2度と離さない。
どこにも行かないよう、手を繋いでおく。
俺はお前を守る。
どんな事をしても。
この乱世をお前と生き抜き笑うんだ。