第19章 氷も溶ける甘味なコト(R18)
「謙信、城下を散策させてもらうが良いか」
「勝手にしろ。
貴様如き歩き回ったところで迷惑する俺ではない。
門番には言っておく。好きに出入りしろ」
謙信は素っ気なくもきちんと計らってくれた。
(ここに留まる間は責任を持つ、か。
相変わらず義理堅い。ククク)
「美弥、出かけるぞ」
「信長様?」
「越後の反物でも見に行くか」
勝手に安土城を出た事を叱られて、
ションボリしていた美弥は信長に声をかけられて、パッと表情を明るくした。
町には漆器、陶器、木工の店、
威勢よく野菜を売る店などがならび、
活気がある。
信長は美弥を連れ反物屋を訪れた。
上質な麻で出来た越後上布、が有名だ。
「わぁ、これが、塩沢紬の元かぁ〜」
美弥はウットリと反物の手触りで質感を堪能する。
光沢がありながら少しザラつく麻の感触。
品のある色が多い。
「この薄墨色は信長様に似合いそうですね!
この鴇色、凄く優しい色合いで素敵〜💕」
美弥の楽しそうな顔を見て、
信長も表情を緩める。