第3章 政宗と姫の或る日 其の弐
「……まさ…ね…」
「ん?何だ?」
「ありがとうございます。政宗が政宗で良かった」
瑠璃に穏やかな瞳が戻って見えた。
チュッ、と瑠璃から政宗に口付けると、
蒼い瞳が驚き、嬉しそうに優しく細められる。
「人は生きてるだけて価値がありますね」
「ああ、価値のない人なんていないさ」
凛静な強さを取り戻した銀鼠色の瑠璃の瞳を覗き込んで、政宗がハッキリと言った。
(だからどんなに傷ついても、辛くても全力で精一杯生きるんだ)
「なぁ、瑠璃、お前が今ここに、生きてるコト、感じたい……良いだろ?」
瑠璃は頷く代わりに、そっと眼を閉じて、
唇を重ねると、首に腕を回し、
柔らかな胸を政宗に押し付けた。