第17章 かき氷大作戦
「氷を分けてやると、言いたいところだが」
「やっぱり、ダメですかー…」
美弥が溜め息を吐く。
「駄目ではない」
「!」
信玄の言葉に美弥が正気を取り戻す。
「ただし…」
「ただし?」
美弥と信玄が顔を突き合わせる。
(佐助さん…漫才ですか?)
(いや、コントだよ、瑠璃さん)
美弥と信玄に呆れながら瑠璃が佐助と小声で話す。
「…ただし…盗賊を捕まえられたら、だ」
真剣なのに、なぜか軽い冗談に聴こえるのは気のせいか。
「えぇ〜盗賊ですかぁ〜」
(盗賊…)
「謙信様、氷を盗む者がいるのですか?」
冗談の様なやり取りを真剣にしている2人を他所に、瑠璃は謙信に尋ねる。
「今年は氷が貴重な故、盗んで高値で売って金にしている者がいる。
警備を強化してはいるが、まだ捕まえられていない」
表情は変わらないが、謙信の声音が少々不本意だと言っている。