第12章 政宗姫想フ
考えてみる。
『瑠璃、お前の好きなモンって何だ?』
『政宗、かな?』
小首を傾げて、悪戯に笑う姿を想像した。
『そうじゃない、喰い物のことだ』
『ん〜…政宗』
銀鼠色の瞳がクルンと丸くなって、俺を見上げる。
『政宗のこと、食べたいな。
…食べていいですか?』
うふふふ…
桜色の瑠璃の唇が、俺を誘う言葉を紡いで、愉しそうに笑う。
「ゔっ…っくぅ〜〜…」
ハァァァーーー
(俺、やっぱりダメだわ……)
左手で額を押さえる。
もう何日も瑠璃がいないせいで、
瑠璃不足の欲求不満状態だ。
自分勝手な妄想だけど、
何をどう考えても、閨での妖艶に甘えてくる瑠璃を想像し思い出してしまう。
「本当、いつ帰って来るんだよ〜。
限界だっーの!」
限界を独り訴える政宗。
「に"ゃぉ?」
そして、瑠璃が西から帰って来たのは、
政宗が、瑠璃が光秀と西へ出発したと知ってから、34日後の事だった。