第12章 政宗姫想フ
『政宗っ、コレ、とっても美味しいよっ!』
『すっごーいっ、コレ、全部食べていいの⁉︎』
『甘くて美味しいーっ!』
『幾らでも食べられちゃうよっっ』
美弥は本当に美味しそうに、
幸せいっぱい、満面の笑みで喰べる。
もちろん、瑠璃が美味しそうに食べない と言うわけではない。
出された物は残さず、キレイに喰べる。
旨ければ、ちゃんと「美味しい」と感想を述べる。
(そうだ…)
同じ言葉でも、瑠璃の声音、
発声量、雰囲気、そんなものの違い。
それは、紛れもなく、
育ちの違いだ。
『とても美味しいですね』
『甘くて、柔らかくて、温かい味がします』
柔らかく、緩やかに、
陽だまりのように温かい、
耳に優しい声で、幸せそうに
微笑みながら。