第11章 西国の2人
「ところで、ずっと大内様と遊んでいらっしゃったのでしよ?」
酒、唄、女 の遊び。
金がなければ続かない。
「ああ、そうだが、どうしかしたか?」
瑠璃の顔が真剣になり少し曇った。
「……大内様は身の後がありませんね」
光秀は知っているのか、気付いているのか解らないから、瑠璃は曖昧な言葉を投げかけたのだが、
光秀がニヤッとと笑った。
「そのうち、身から出た錆となろう」
予言のように断言した。
薄い障子紙では声も影も遮れるはずがない。
何処にいても、誰といても、
本人以外は気付くこと。
((そう、長くはない))
光秀は嗤笑し、瑠璃は哀憫の表情をした。
それでも、旅の目的の為、卒なく筑前滞在を果たす。
それだけが、2人の使命だった。