第9章 西国見聞録
光秀は訝しがる。
そんな光秀を知っていながら、
瑠璃がやって来て、光秀の腕を抱いた。
「光にぃ様ぁ、ワタクシ、船に乗りたいわ。
元就様の船はすごく大きくて、
大筒もございますのよ」
瑠璃はグイグイと腕を引く。
そんな瑠璃を困った様に見る光秀。
(大筒…)
妹にせがまれて、困った兄を演じる。
「瑠璃はまだ、1度しか船に乗った事がないから、気持ちは解るが…」
その台詞に飛び付いた元就。
「1度⁉︎勿体ねぇ、海の上は気持ち良いぜ〜。
乗ってけよ!」
待っていた言葉。
「いや、ですが、邪魔になるやも知れませんし…」
駆け引き。
「大丈夫だって、瑠璃、乗ってけ」
人懐っこい元就。