第14章 ディスコース
そして今に至る。
(あんな提案するんじゃなかった…)
後悔してももう遅く、私たちは馬鹿正直にチアリーダーの服をこしらえこの場にやってきた。奥で峯田と上鳴がニヤニヤと笑っているのがなんとも腹立たしい。
「何故こうも峯田さんの策略にハマってしまうの私…
衣装まで創造で作って…」
『まあ…提案した私も悪い…』
なんとか落ち込む八百万をなだめれば、遅れてやってきた緑谷が私たちを見つけるや否や大慌てで目を塞ぐ。
「え、えええ希里さんに麗日さん!?どうしてそんな格好に!?!?」
『聞かないで…』
「あはは、色々とねー」
案外平気そうな麗日が楽しげにポンポンを振り回せば、気を取り直したマイク先生の実況聞こえてきた。
「さあさあみんな楽しく競い合おうレクリエーション!!!それが終われば最終種目進出、4チーム総勢16名からなるトーナメント形式ィ!一対一のガチバトルだァ!」
ミッドナイトに続き残った総勢16人が中心へ集まれば、くじ引きで決まった組が発表される。
(私の最初の相手は…飯田くん)
発表されるや否や、各々緊張や興奮を声に出し騒がしくなる会場。
私も自分の名前を見つければ鼓動が高鳴る。そんな中呆然と立ち尽くしていた私に突如現れた飯田は、いつもの様子で声をかけてきた。
「希里くん!」
『あ、飯田くん。第一回戦よろしく』
「ああ、早くも君と戦えるとは。よろしく頼むよ」
『うん…え?』
「いや…緑谷くんにも言ったが、僕は君にも挑戦したかったんだ。
情けない話、実は個性把握テストの50mメートル走で負けたことが未だに悔しくてね」
『ああ、あの時の…』
「もちろん、それだけではないけどな!」
『そっか…うん、私も全力で挑むよ。飯田くん』
「ああ!」