第14章 ディスコース
『ハア…』
お昼休憩に入り一旦中断される体育祭。
そんな中、私はお昼ご飯もそこそこに保健室で横になりながら大きくため息をついていた。
(最終種目にでれるのはいいけど…こんなんで大丈夫か…?)
リカバリーガールにできるだけ治癒してもらったとはいえ、いまだに頭の中がふわふわとしている。治癒のおかげで吐き気と頭痛はだいぶ治ったが、正直この調子で勝ち進んでいける自信がないのが事実。
頭に乗せてあった氷パックを外し重い体を起こせば、なんとか歩けることを確認する。
「ほらほら、
歩けるようになったんならお昼ご飯しっかり食べてきなさいな!」
『はあい…』
「今こそ栄養蓄えなきゃいけないよ、午後もがんばるんだろう」
『うん…ありがとうございました、リカバリーガール』
お礼を言い頭を下げれば、ふらつく足取りで食堂へと歩き始める。
しかし次第に近づくにつれて聞こえる人混みの音に、思わず足をとめれば方向転換してしまう。
(今あの人混みの中に行ったら酔って吐きかねない…だめだ)
しかしリカバリーガールにも言われた通り、最終種目が迫っている中でなにも食べないわけにもいかず。しょうがないのでお菓子やパン系が売っている自販機を求め、校内をうろつき始めた。
(確かここらへんに…ああ、あった)
数分後、記憶を頼りに歩き回ればなんとか自販機を見つける。適当に栄養になりそうな菓子パンやらを買い集めれば、両手に抱え持って近くのベンチを探し校内を出る。
キョロキョロと校舎裏を歩き探索すれば、なんとかベンチを発見し思わずため息を漏らす。
(やっと座れる…ってあれ?)
しかしなんとか見つけたベンチにはすでに先客がいたようで、思いつめた表情で一人腰をかけていた轟が見えた。彼の邪魔がしたいわけでもないが、また違うベンチを探しに行くのも正直だるい。
色々と考えたがやっぱりしょうがない、と意を決して彼の元へと歩み寄った。
『あのー…ごめん、他に座るとこなくて。ここ座っても?』
「………ああ、好きにしろ…」
どうやら相当考え込んでいた彼は声をかけるまで私に全く気づかなかったようで、少々驚きながらも再びまたいつものように俯いた。
遠慮気味に隣に座れば、そのまま黙々と買ってきた菓子パンを開け始めた。
『…』
「…」
しかしこれは思っていた以上に気まずい。