第13章 ケイオス
しかし今度は逃げた私たちを追って、己の爆風で飛んでくるの爆豪が視界に映る。
「常闇くん…ッ!!!」
再びダークシャドウが彼の攻撃を防御するため盾になれば、なんとか防ぎながらも弱々しい声をあげる。
「アァ!?なんだこいつ…」
防がれた手をそれでも伸ばしながら、敢えなく落下していく爆豪。
そのまま落ちていく私たちも、私のテレポートでなんとか地上へと着地する。
『うッ…』
「希里さん大丈夫!?」
連続して使用した個性の副作用が私が襲い、体を蝕む。ぐらつく視界でなんとか大丈夫だと生返事をするも、きっと察しのいい緑谷にはバレているだろう。
「うわあ!?」
『ッなに!?』
すると先頭を進んでいた常闇により急ブレーキがかかり、よろめく私たち。一体何事かと目線を上げれば、そこには轟くんのチームが私たちの行く手を塞いでいた。
「もう少々終盤で相対するのではと踏んでいたが、随分かわれたな緑谷…」
「…!!時間はもう半分…足止めないでね!」
しかし轟チームだけでは飽き足らず、私たちのポイントを求め次々と他チームもこちらへと向かってきている。どうするかと辺りを見渡していれば、突然上鳴の無差別放電と轟の氷が辺りを包めば、一気に足を止めらていく他チーム。
そして大きな氷の壁が私たちを囲めば、瞬く間に轟チームと私たちだけが残された空間が出来上がる。
轟の鋭い瞳がこちらを射抜けば、もう逃げ場がない事を察する私たち。
なんとか向かってくる轟チームを回避するべく、無理を承知で個性を使おうと声をかければ、即座に緑谷に止められる。
「希里さんは無理しないで、いま君の個性は温存しておいて…!」
『…ッ!わかった!』
情けない自分を奮い立たせれば、たちまち常闇が攻撃を仕掛ける。しかし上鳴の放電との相性の悪さで弱体化していたダークシャドウの攻撃は、八百万の創造で簡単に防がれてしまう。
なんとか避難し逃げ続けて入れば、いつの間にか端へと追い詰められていく。
「…攻撃力低下、向こうに知られていないなら牽制にはなる。大丈夫、なんとしても一千万は持ち続ける…」
「うん、がんばろう!」
『…緑谷くん、一つ提案がある』
「え、提案って…?」