第13章 ケイオス
集まってくれたみんなのお誘いを丁重に断れば、そのままさっきの二人組へと歩き出し、困った様子で固まっていた彼らの肩に手を伸ばした。
『緑谷くん、お茶子ちゃん…私と組んでくれない?』
「え、ええ希里さん!?本当に僕なんかと!?」
「おお頼もしいよトバリちゃん!!!」
『うん、実は少し考えがあって』
慌てふためく緑谷に、大きな笑顔を浮かべて歓迎してくれる麗日。
『私の個性をこの騎馬戦で使おうとすると四人分もの総量を移動しなきゃいけないんだけど…でもお茶子のゼログラビティがあればそれが一気に一人分になるでしょう。そうすれば私も個性をもっと発揮できるんじゃないかな』
「なるほど…!!」
「おお!確かにうちらの個性は相性がいいね!」
『うん…でもちょっと言いづらいんだけど、実はさっきの試合で割と体力消耗してて。一人分ならだいぶ楽なんだけど、それでも何度も使えないかもしれないんだ』
「それは大丈夫!希里さんがいれば心強いよ!」
組む上で黙っているわけにもいかないので今の私の状況を正直に話せば、食い気味に答えてくれる緑谷。
最悪の場合断られるのを覚悟していたから、予想以上にすぐ受け入れてくれた緑谷に思わず驚きと嬉しさがこみ上げた。
『…ありがとう。私の個性のデメリットも知ってる、頭のキレる緑谷くんなら任せられるよ。好きに私を使って』
「つ、つか!?いやお礼をいうのはこっちで…!」
涙を流しながら感動していた緑谷は、今度は急に頬を染めながら慌て出す。コロコロと変わる彼の表情に思わずかわいいなと思いながらも、それは伝えず心の中にしまっておいた。
『よかった、これで三人だね。これで全員?』
「それなんだけど…実は僕に考えがあるだ」
…
…
「それじゃあ…麗日さん、希里さん、常闇くん。よろしく!」
私たちの勝敗がかかったハチマキを頭に巻きつければ、拳を力強く握る緑谷。彼を乗せた私たちは、それぞれ目を合わせれば大きく頷いた。
「さぁ行くぜェ!!残虐バトルロワイヤル、カウントダウン!」
マイク先生の実況が響けば、再び会場は熱気に包まれる。
「スリーツーワァン…スタート!!!!」