第12章 フェスティバル
◇◇
やっと追いつき最終ステージについた僕は、遥か遠くで先頭を行く轟くんとかっちゃんを見据える。
(遠い…!)
どうしたものかと考え周りを見渡していると隣に呆然と立ち尽くした希里がいるのに気づき、思わず声をかけてしまう。
「あれ!?希里さん上位だったのに…いかないの!?」
『ああ緑谷くん…そうだねもうそろそろ頃合いかな』
「それってどういう…」
『それじゃあ、お先に。待ってるよ!』
意味ありげにニヤリと笑う彼女はすぐさま前に向き、その瞬間横から消え去る。
(どこに!?)
急いで彼女を探し前をみれば、次々と他の生徒の肩に飛び乗っていく希里が見えた。
「うわあ!?」
『ごめんなさい!ちょっと肩借ります!』
乗っかっていくたびに謝罪を入れながら前へ前へと飛び移っていけば、すぐさま先頭に追いつきそうな彼女。
(なるほど…!位置が見えにくい地雷を避けながら飛ぶんじゃなく、安全で尚且つわかりやすい位置にいる生徒の背中に飛び移りながら前に進んでいるのか…さすがだな希里さん…)
勝手に分析し感心していれば、あっという間に轟と爆豪に追いつく希里。先頭でお互いを妨害しながら、進んでいく彼ら。
(僕も流暢にしてられない…今僕にできることを…!)
迷っている時間ももったいない。
次々と地雷を地面から掘り出していけば、次第に数が集まっていく。
「借りるぞかっちゃん、大爆速ターボ!!」
そのまま勢いよく地雷の山へと板と共に飛び乗れば、大きな音に包まれる。視界は一気に煙に覆われ、体は宙へと放り投げ出されていた。
(すごい威力だ…!)
そのまま先頭の彼らを追い越す勢いでみんなを飛び越えていけば、なんとか轟、爆豪そして希里を追いつく。
「デクゥ!俺の前をいくんじゃねえ!!!」