第9章 ビギニング
爆豪って戦闘センスもピカイチだけれど、こんなに冷静に物事考えてるのか?少し、いやかなり意外だったからか、私と切島はつい爆豪を凝視すれば、不快そうな爆豪が口を開く。
「あんだよ…」
『いや爆豪ってそんな感じだったっけ…』
「だよな…もっとこう、しねしねー!みたいな…」
「俺はいつでも冷静だクソ野郎ども!!」
『ああ、それそれ』
「テメエあとで覚えとけよ…」
そのまま掴んでるままだったヴィランを床に放り投げれば、彼は出口へと歩き出してしまう。
「じゃあな、いっちまえ」
「まてまて…ダチを信じる、漢らしいぜ爆豪!乗ったよおめえに!」
そう爆豪に告げる切島は、そのまま私へと振り返り。
「希里も一緒だろう!?」
もちろん、と答えようと口を開けるが声を発する前に爆豪に遮られる。
「お前はくんな」
『…どうして』
「今のテメエじゃ足手まといだ、いまだに息きらしてんじゃねえか。…使えねえんだよ」
そう彼に指を刺されれば、確かに今の私はいまだに肩で息をしていた。
連続して自分自身をテレポートして、この間ずっと移動先の演算をしていたことですでに頭痛も始まっている。
それらすべてで体は無傷でも、疲労と副作用で足元は多少ながらふらついている。隠そうとしても爆豪にはバレバレだったようで、彼の鋭い瞳に睨まれてしまう。
『…それでも私はいく。みんなの安全が分かるまで私は動く、それにもし途中で私が倒れても私に構わないでいい』
「おい、希里…」
「…」
重い沈黙が流れる。
しっかり爆豪の目を見据えながら、彼の返答をまった。
もっとも彼が拒否しようともついて行くのは決めているが、どうせなら同意を得た方が邪魔されなくていい。
「…勝手にしろ」
『ありがとう』
「おい、少しでもダメだと思ったらすぐ言うんだぞ?無理したら元も子もねえからな…」
『うん、わかってる切島くん…それじゃあ行こう』