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私が死のうと思ったのは【ヒロアカ夢】

第7章 ダークブラウン



唐突に名前が呼ばれ反射的に顔が上げれば、よく知っている血の色をした瞳が私を見下ろしていた。



『…切島くん』



「授業終わったぜ…おい、また体調悪いんか?真っ青だぞ」

『あ、ち、ちが』

「保健室いこうか、ついていくぜ」

『違う、大丈夫だよ』

「大丈夫には見えねえから行くんだろ?ほら、」

『本当に、いいって!』

「…」

『…』

未だガヤガヤとうるさい教室にかき消される声。

しかし切島にはちゃんと届いたようで、彼は少し驚いたかと思えば、眉をひそめ静かに笑った。

「…わかったよ、でもあんまり無理すんなよ?」

そう言いながら、私の肩にポンッと手をのせ優しい笑顔を見せる。
しかしどこか無理やり作られたように見えるその表情に、ひどく悲しく、申し訳なくなる。

『ありがとう、…ごめん』

私も精一杯口角をあげて見せれば、切島は何人かでワイワイと喋っている人たちに混ざっていった。

(…情けないな、今日はもう帰ろう)

申し訳なさからか、その場にいることにどんどん居心地が悪くなり立ち上がる。適当に教科書をカバンに詰め込んでいれば、もう帰るん?と声が聞こえきょとんとしたお茶子に気がつく。

『あ、うん。あまり気分よくないから今日は先に帰るね』

「あ、わかったよ。あんまり無理しないで休んでねー!」

『ありがとう、緑谷くんにもよろしくいっといて』

できるだけの笑顔で教室をあとにすれば、どんどんとガヤガヤが遠くなっていきやっと落ち着きが取り戻せる。

なにやってるんだが…と肩を落とせば重い足取りで駅へと向かった。




『はあ…』

下校時間と同時にすぐさま学校を後にしたからか、まだ駅はそれほど生徒で溢れてはいなかった。自動販売機でお茶を一つ買えば、水分を体に流し込む。

だいぶ呼吸は落ち着き精神的にも楽にはなったが、まだ胸の奥がチクチクと痛む。

それはきっと切島に気を使わせてしまった罪悪感からだろうと、明日彼に謝ることを決めながら、ベンチに腰を下ろした。

(まだ次の電車まで時間あるな…)

目を閉じ、背もたれに寄りかかる。

まだ少し涼しい春先の風が頬をかすめ、深く深呼吸をしていれば、隣の椅子にだれか腰掛ける音がした。


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