第6章 アイスブルー
簡易れず視界が変わればビンゴ、障子くんの指示通りに行けば目的の広間へ飛べたようで、目の前には大きな核と動けずにいる尻尾のある男子生徒がいた。
「な!?」
突然現れた私たちに驚き思わず声をあげる彼。それに構わず轟くんが前に歩き進み、すぐさま核へと手を伸ばした。
「ヒーローチームウィィン!!!」
モニターで確認したであろう、オールマイトの声がビル内に響き渡る。
それを合図に轟くんが左手から一気に熱を送れば、先ほどまで凍てついていたビルは熱に包まれ即座に氷が溶けおちた。
『すごい…』
「悪かったな…レベルが違いすぎた」
そう言い放てばそのままこちらに戻ってくる轟。そして一部始終を見守っていた私は再び呆然と立ち尽くしていた。
「下に戻れるか」
『あ、う、うん。ああでも下に戻るんだったら、そこの君』
「ん?俺?」
悔しそうに拳を握る生徒に声をかけると同時に、くっそう〜!と言いながら葉隠らしい影が広間へと入ってくる。
『あ、ちょうどいい、二人ともこっちにきて私の手に触って』
「え?」
「なになに?こう?」
轟と私の元に、尻尾の生徒と葉隠がこちらによれば、私の左手に恐る恐る触れる。それを確認し、そのまま右手で再び轟くんの肩に触れれば一気に一階地上へと飛んだ。
「うわあ!?」
「すっごーい!初めてテレポートしちゃった!」
突然視界が変わり驚く彼に、はしゃぐ葉隠。
そしてそれを見た障子はおかえり、と一言口にした。
『さっきの氷が溶けて足元が濡れてるから、みんな一斉に飛んだ方が安全だと思って個性つかわせてもらった。ごめんね説明もなしに』
「なるほど、ありがとうな。俺は尾白猿夫だ、よろしく」
『あ、私希里トバリ。よろしくね』
「ねえねえトバリちゃん〜もう一回やってほしー!」
『いいよ、また今度ね』
轟をみれば特に驚いた顔もせず、そのままモニタールームへと歩き始めたので私たちも彼についていく形でその場をあとにした。
それから特に轟とも会話はなく、私たちの好評を終える。それからも着々と授業は進み、改めてみんなの個性を観察することができた。
昨日の相澤先生のあとでのオールマイトのヒーロー基礎学の授業は実に全うであり、悪い言い方をしてしまえば拍子抜けであった。