第5章 イントロダクション
「ケロッみんな素敵なヒーロースーツだわ」
『ありがとう、えっと…』
「蛙吹梅雨よ、梅雨ちゃんとよんで」
『私希里トバリ。梅雨さ…ちゃんもすごく可愛いし素敵だね』
梅雨ちゃんと名乗った少女は大きな笑みでケロッと鳴けば、つい彼女につられ笑顔をこぼす。
「ねえ私もお茶子ってよんで!」
「私も三奈でいいよ〜私もトバリって呼ぶから!」
梅雨ちゃんの笑顔に癒されていると、麗日と芦戸が揃って言い始める。そしてそれを聞いていたであろう、スーツに着替え終えた女子たちがまたぞろぞろと寄ってくる。
「まぜてまぜてー!私葉隠徹!」
「うち耳郎響香。よろしくね」
『わあ人がいっぱい』
唐突な自己紹介の会に、一段とわちゃわちゃし始める女子更衣室。
「もうみなさん、準備ができたならいきますわよ!…ちなみに私は八百万百です…」
『よろしく、みんな』
…
…
「いいじゃないかあ、みんな。カッコイイぜ!」
グラウンドベータにて、
ぞろぞろと現れるヒーロースーツに身を包んだ1-Aの皆。
一度スーツをきれば、自覚しなければいけない。
自分たちはこれから、ヒーローなのだと。
お茶子と一緒に話していれば、緑谷らしい人影が少し遅れて後ろからやってくる。
「あ、デクくん!?」
『あれ、緑谷くん』
「え、麗日さ、あ、希里さん!?」
緑色のスーツにうさぎのようなマスクをしている緑谷は、私たちを見るなり大きくあたふたと動き出す。
『あ、ふふたりともか、かっこいいね!』
「いや〜パツパツスーツになっちゃったよ〜恥ずかしい」
『ね…結構体のラインはっきり見えちゃうし』
「そそそんなこと!」
マスクをかぶっていても分かる緑谷の動揺っぷりに思わず笑ってしまう。
彼はまるで小動物のようでどこか見ていて飽きない、なんて思っているとすると突然小さな人影を視界に端に捉える。
「ヒーロー科最高」
『…ん?』