第5章 イントロダクション
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学校2日目。
雄英高ヒーロー科のカリキュラムは、午前は必修科目。
英語、数学や現代文などの授業。
これは一般的な高校と同じ、いたって普通に行われる、
とっても普通の授業だ…。
そしてお昼は大食堂でランチラッシュのご飯を安価でいただく。
今日は昨日約束した通り、飯田くんと麗日さん、そして希里さんと一緒にご飯を囲んでいた。
「ん〜白米がおいしい〜」
口いっぱいにお米を頬張れば、まるでハムスターのようにふっくらとした頬でもぐもぐする麗日さん。
飯田くんは相変わらずピンと伸ばした背筋でビーフシチューをいただいており、希里さんはなんだか少し落ち着かない様子で焼き魚定食の魚をつついていた。
「希里さん、どうかしたの?」
『えっ……私、変だった?』
「確かにに少し緊張しているようだな。どうかしたのかい?」
『うーんいやあ…』
少し歯切れの悪そうにする彼女は、なにかを考えた様子で少し迷った後、意を決して重い口を開いた。
『実は私家族以外とでご飯食べたことなくって…ちょっと緊張してるかも』
「えっ…」
「そうなん!?」
「それは、…そうだったのか」
意外なことを教えてくれた希里さんに、各々驚きを口に出す。
『うん、前までお母さんと二人暮らしだった時も基本一人のことが多かったから。今は一人暮らしだし…ごめんねどこか変だったら』
「そんなことないよ…!」
うんうん、と勢いよく緑谷の返事に相槌をする麗日と飯田。するとどこか困った表情をしていた希里さんは、ふと頬を緩ませた。
『…ありがとう。正直昨日誘ってもらってすごくうれしかった。
あの、…三人がよければ…これからもたまにお邪魔してもいいかな』
「もちろんだよ!たまにと言わずこれから毎日一緒にたべよう〜」
「無理強いはしない、だがいつでも俺たちは君を歓迎するよ」
「うん!!」
へへ、と彼女はどこか照れたように笑えば、またドクリと再び僕の心臓が素早く脈を打ち始める。
やっと緊張が解けた希里さんの笑顔が見れ、少し大人びた雰囲気だった彼女にまだ幼い年相応の弱々しさが垣間見れた。