第19章 デベロップメント
『駅、ついちゃったけど…どうする?』
「あ、えーっと…」
『…少し喉乾いたしそこのベンチで話す?』
「お、おう。そうしようぜ」
そのまま駅前の自動販売機まで行けば、適当に飲み物を買う。彼も何かのスポドリを買えば、二人で横のベンチへと腰掛けた。
そして静かだった切島は、しばらくして意を決したように頭をあげる。
「希里ってさ!その…轟と付き合ってたり、するのか?」
『ん!?』
予想外の質問に思わず口をつけていたお茶を吹き出しそうになる。なんとか抑えこんだお茶に咳き込んでいれば、切島が慌てて私の背中をさすった。
「わ、わりい!大丈夫か!」
『だ、大丈夫…ケホ…あー、もう平気…ごめん急に』
「いや俺が急に変な質問したから…」
『いや、別にそれはいいんだけど…私は誰とも付き合ってないよ。どうして急にそう思ったの』
そこまで自分で言えば、今日の昼の事を思い出す。
「いや、お前その昼に…轟とデートしたみたいな事、いってたからよ」
『私は一度もデートしたなんて言ってないよ…みんなが変に騒ぐからそういう風に聞こえただけで』
「だけどよ、実際休みの日にあったんだろ…?」
『そうだけど、それは相談を聞いたみたいな感じで。デートでもないし、二人ともそんな気全くないよ…』
「そうなのか…そ、そうか…」
なんとか誤解をとけば、切島はどこかホッとした様子で下をむく。
今までろくに人間づきあいをしてこなかったせいで、何が普通で何が変なのか私には全くわからない。今どきの高校生は休日に異性のクラスメイトと出かければ、イコール付き合っているになってしまうのか。
(本当になんでもないのに、人間関係って結構面倒なんだな…)
思わずそんな事を考えていれば、切島が続けて口を開く。
「だったら、よ。日曜、どこか出かけないか」
『ん?なにか用事でも?』
「いや…そうじゃなくて。お前を、で、デートに誘ってんだ」
『……へ?』
はっきりとデートと切島がいえば、突然の出来事に思わず間抜けな声がでる。
私は今デートの誘われているのか?
切島くんと私が?
デートに?
…何故?