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【HQ】初恋は東に進め【R18】

第4章 妬きすぎた好き



少し時間はさかのぼり…

私は考えていた。
自分の今の状況を旭に伝えるべきか
でもどう伝えたらいいのか
まだ部活の時間ではないが早めに部室に来ていた
ここ数日、授業内容も頭に入っていない
こんな日はそうそうない

まだ夏の日差しが劈くような暑い部室の歓喜をしようと
窓を開け放ち、ぼぅっと空を眺める
方角や時間的にも直接的に日差しが入ってこないとしても
少し熱気のある風が部室に入ってくる

大きく息を吸い、先日作ったばかりの曲を口遊む
歌ってる時が一番頭の中が冴える気がする
アヤの事、私の事、今の状況、アヤの好きな人、私が大切で大好きな人…
どれも手放したくないし何もあきらめたくない
いつもは冴えてくる頭の中が余計にぐちゃぐちゃになり
途中から世界が滲み、歪んでいく
ワンコーラスまで歌った後、耐えきれずに窓を閉じ
その場に崩れてしまった

その直後、視界がぐらつくような眩暈と冷や汗の様なものが背中を伝い意識が遠のく
思い返せばここ数日ほとんど食事を摂っていなかった
薄れゆく意識の中で開け放たれたドアの向こうで
実瑠がこちらを見て青ざめてるのが見えたが
そこで視界は暗転した

―今、ヒナが目の前で倒れてるのを見つけた―

いつも健康そうなヒナの顔は青白い
状況を理解するのに少し時間がかかった
でもそんなことを考えてる余裕はない

「旭パイセン!!!ヒナが倒れてるよ!!!」

少し部室から離れてしまっていただろう先輩が血相を変えて走ってくるのが見える
アタシじゃヒナは運べないし先輩に頼むしかない
先輩が部室のドアに手をかけるとその光景に絶句していた
一瞬ひるんだが部室に入りヒナを軽々と持ち上げ抱きかかえた
力なく垂れ下がるヒナの腕が無意識なのか先輩のジャージを弱弱しく握った

「保健室ね!間違えないでよ!」

言い切る前に先輩は廊下を走って行った
杏歌ちゃんにも連絡しようと携帯を見た
アヤからも連絡が来ていた

『今東根先輩がヒナを抱えて走って行ったから追いかけてくる。倒れたのも末端は僕のせいでもあるし。ごめん』

流石に大きなため息をつき杏歌ちゃんに軽くメールを送る
あとは当人の方にお任せして
アタシは購買のバナナミルクを買いに行こうと部室のドアを閉めた。


―旭の匂いがする…―
しばらくこの匂いに包まれなかったから
途端に恋しくて、切ない
ごめんね、旭…
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