第4章 妬きすぎた好き
「ごめんね…旭…ごめんね。もっと話したいこと…ある、のに」
「…俺もちゃんと聞くから、今はいいよ、ヒナ」
瞼の奥が明るくなる
目を開くと保健室の天井だった
起き上がると自分からほのかに旭の匂いがする
エアサロンパスと、ちょっと特徴のある柔軟剤の匂い
それだけで軽く泣きそうになる
「ヒナ、気が付いた…?」
横にアヤが心配そうに見ていた
ゆっくり起き上りアヤのほうに向きなおる
「旭いたよね…?運んでくれたのも旭?」
アヤが少し申し訳なさそうに頷く
やっぱりあの感触は旭で夢じゃなかったんだ
うれしい。
「ここに運んでからすぐ部活のほうに行っちゃって、僕も少し話をしたんだ」
「そっか。なんか言ってた?」
「会わせる顔がない。どんな顔してヒナに会っていいかわからないって」
そうだと思った
旭は私に対して責任を感じてるんだ
だから、今度はちゃんと向き合う
その為には、アヤにも協力してもらわないといけない
「アヤ、旭と話したいんだ。アヤの事…話してもいい?」
アヤは涙を目にいっぱいにしながら私の手を強く握り
大きく頷く
「何言ってるんだ!もちろんだよ!僕はヒナに応援してもらってるし、今回の件は僕にも責任がある。協力させてよ…」
アヤは本当にやさしい。今回の件が片付くころにはアヤの想い人ともちゃんと通じ合っていてほしいものだ
その日は甲斐沢先生も倒れるんじゃないかというくらい心配していたから大人しく帰ることにした
いつもの家に帰ってきて久しぶりに部屋の中が鮮明に見える気がした
昨日まではどう生活していたかわからないくらい夢うつつ
でも、しっかりしなきゃ。
ちゃんとしたご飯を食べて、しっかり寝る
そして、ちゃんと話さなきゃいけない
意を決し、明日旭にいつ空いてるか聞かないと
夕飯の準備をしようと立ち上がった時、不意に携帯が鳴る
確認するとそのメールは旭からだった
『体調大丈夫か?』
たった一言。この一言が本当にうれしい
言いたいことも何もかも吹っ飛んでつい、旭に電話をかけてしまった
かけてから気づく、まだ練習中かな?とか何やってんだろ?とか思ったが3コールする前に旭が出てくれた
『もしもし、ヒナか?』
「あ…旭、ごめん、れんしゅ」
『今日早く終わったんだ、それでヒナが嫌じゃなければだけど…家、行ってもいいか…?』
快諾する以外にない。
