第3章 ~嫉妬の先には~
帰り道。
俺は身長があるからヒナの歩幅に合わせて歩いてる
少しでもいい男に見られたいのもあるが
何より近くでヒナの笑顔が見てるこの位置が一番落ち着くのもある
俺から何か起こして嫌な思いをしないか
ものすごく不安だ。
でも…
「ヒナ、その…手を繋いでもよろしいでしょうか…?」
あの時みたいなきょとん、とした顔をしたかと思えば
すぐに照れたような笑顔に変わり俺の左手の小指の辺りに
ヒナの小さな右手をわずかにくっつける
「もちろんです!」
あぁ、やっぱりまた顔が熱い。
ヒナの手を包むように握るとものすごくナチュラルに
恋人繋ぎをする
ヒナにはかなわない
胸のチクリとする痛みもきっと気のせいだ
そう言い聞かせてヒナの家に向かう
「あ、その前に近所のスーパーに言ってもいいかな?あと30分で卵のタイムセールなの!」
「おう!」
道中に少し大きめのスーパーがありヒナの家に行く前に寄ることも何度かあったので
寧ろ楽しいと思っていた
目的地につくと慣れた感じでカートを引き、籠を置く
タイムセールまで少し時間があるから適当に店内を回っている
「あらぁ!雛子ちゃんじゃないの~!」
「森岡さん!いつもアヤがお世話になってますー!」
「いいのよ~あらあら!彼氏さん?かっこいいわねぇ!」
少し小柄のおばさんがヒナと親しげに話してる
俺を見るとさらに笑顔になりながら俗にいう井戸端会議を始めた
世間話をしているとおばさんが急に何かを思い出したように話し始める
「そういえば雛子ちゃん、最近ねぇ、小奇麗な女の人がうちのマンションの周りをうろうろしててね~なんか人探ししてたみたいなんなけど…」
「…もしかしてアヤの事探してる感じでしたか…?」
「気になって話しかけたら特徴的にはそうだったのよねぇ
だから、雛子ちゃんに話しておこうと思ってねぇ…」
そんな会話をしたあたりからヒナの顔が険しくなった
初めて見る顔だった
「アヤの住んでるマンションの大家さんでね、私の親戚でもあるんだよね、森岡さん」
そんなことを呟くヒナは徐に携帯を取り出した
「ごめん旭、ちょっとお母さんに…電話していい?」
「あぁ、大丈夫だけど…」
真剣な顔で電話するヒナ、俺は今更
ヒナの事を何も知らないことに気付く
俺のことは何でも分かるのに…
また胸の奥が痛い…。
