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あなただけを…

第6章 ➖再開…?➖


-コンコン -

ドアをノックする音と共に
あんなに会いたかったのに…
今は会いたくない
その君が立っていた…

「失礼します…学園長お呼びで…あなたは…」

私に気付き少し強張る彼の表情…
警戒しているのだろう…
自分が知らない自分を知る者の事を…
彼の表情からは瞬時にそんな事が読み取れた…

(あぁ…そうか…本当に覚えてないんだね…)

両親を失い1度壊れた心は…
なんとも脆くなってしまったものだった…
突き刺すような痛みが胸を走った…

彼が学園長からの説明を受けている間
この痛みを悟られぬように
偽りの仮面をつける事を…

(生きているのだから…
 それで良いじゃないか
 君の瞳に私は映らずとも…
 私の瞳には……)

そう思うしかなかった
彼にとって私はそんな存在だったんだと
今の状況が物語っているのだから…


「わかりました。
 では…新入生さん参りましょうか?」

貼り付けた様な笑顔で私に手を差し出す
大人びた君…

『えぇ…お願いします』

彼の手を取り立ち上がり
校長室を後にする…

コツン…コツン…と
2つの靴音が鳴り響く…

居心地の悪い時間が流れる
何か喋ろうにも…
心がそれを拒んでいた…
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