• テキストサイズ

あなただけを…

第52章 ➖巣立ち➖



『あ…ごめん。煩くしちゃったかな?』

「いや… サラがおらんから寒くてな。
 荷造りか…やっと決心がついたんじゃな…
 自寮へと戻るのか」

『うん…夜には向こうに戻ろうかなって…』

「そうかそうか。喜ばしいことだが…
 ちと、寂しくなるのお…」

『フフッ…私もだよ?
 リリアちゃんとずっと一緒だったからね…
 寂しいなぁ…。
 でも、決心が着いた今だからこそ戻るね?』

「それでよい。
 わしは寂しくなったらシルバーか誰かと
 寝るとするからのお?昔の様にな…。
 また何かあれば我らを頼りに来るといい。
 いつでも歓迎するからな?サラよ」

『そうやって…。ふふっ…ありがとう。
 また会いにくるね?皆にお礼もしたいから』

(リリアちゃんが笑わせてくれる為に
 ワザとシルバーと寝るなんて冗談を言った…
 笑って送り出してくれる為の優しい嘘…
 ちゃんと伝わってるよ…)

「気にせずともよい。
 また元気な顔を見せてくれればな?
 皆もそれを望んでおる…」

『ありがとう…大好きよ…大好き!!』

走り込んでリリアに抱きついた

(全てを受け入れ優しく包み込んでくれた…
 温かく見守ってくれて、時に励まし、
 時に叱ってくれ、大好きな家族……)

「よしよし。
 わしらもサラが大好きだ…。
 気を引き締めて、逃げずに前を向いてな?」

『…うん!今度は逃げないよ』

落ち着いたころに身を離し
最後の荷物を巾着へと入れる

「良い笑顔じゃ!それでこそわしの娘だ。
 それにしても…
 それはいつ見ても便利な物だな…
  サラの父上は器用な者だ」

『あぁ…コレね?
 父が様々な世界を旅していた頃に
 作り上げたみたいよ?
 こんな小さな巾着になんでも入る。
 ブレスレットを受け継いだ時に
 一緒に受け継いだ物だからね。術式もね。
 リリアちゃんも必要かしら?』

「いや…それはそなたの為に残した遺品だ…
 サラだけのものにしておくんじゃな」

そう言われて頷き
荷造りを終えると
身支度をし学園へと向かう

いつもと変わらぬ1日を過ごすハズだった…
/ 244ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp