第3章 Kissから始めよう
思わず、顔をあげて。
視線が釘付けになった。
「ちょっ…すげー!可愛いっ!」
「マジかよ~っ!本物のメイドみたいじゃんっ!」
「俺、マジで好み!俺と付き合って!櫻井っ!」
そこに立ってたのは。
超ミニのスカートからすらりと伸びる、細い足。
フリルのついた可愛い袖から見える、ピンクのマニキュアの塗られた細い指。
くるんと上を向いた長い睫毛に彩られた、くりくりの瞳。
ピンクのグロスの塗られた、ぷるっぷるの唇。
恥ずかしそうに頬を薔薇色に染めた、とんでもなく可愛いメイドさんだった。
どくんっ、と。
心臓が止まるんじゃないかと思うほど、大きく跳ねあがる。
「だあーーーっ!」
気付いたら、叫んでしまっていて。
俺の雄叫びにびっくりした奴らが、一斉に俺を振り向いた。
「な、なんだよ、松本~」
「びっくりすんじゃん!」
次々にあがる抗議の言葉を無視して。
俺はスマホを放り投げ、大股でメイドさんに近付くと、その手首を取る。
「痛っ…松本、なに…?」
顔をしかめ、怯えたように見上げた瞳に。
また心臓が跳ねた。
「…ダメだ」
「え?」
「絶対、ダメだっ!」
手首を掴んだまま、早足で歩き出す。
「えっ…ちょっ…松本!?」
「あっ、こら!どこ行くんだよっ!」
ダメだダメだダメだっ!
こんなの、絶対ダメだっ!
こんなに可愛いもの
誰にも見せたくねぇっっっ!!!
「ちょっと、松本っ!離してってば!」
抵抗するのを、無理やり引きずって。
近くの空き教室へと入った。
「っ…なんなんだよっ!」
手を強く引いて、教室の真ん中へ櫻井を放り投げると。
ドアをピシャリと閉める。
「…脱げ」
「…は?」
「全部、脱げ」
「な、な、な、なに言ってっ…」
耳まで真っ赤にして。
自分を守るように両手で自分を抱き締めた櫻井に、詰め寄った。
「ほら、早くっ!」
「や、やだっ…!おまえ、なに考えてっ…」
「俺が代わるからっ!早く脱げっ!」
「………え?」