• テキストサイズ

イチオクノホシ【気象系BL】

第3章 Kissから始めよう




だから、この気持ちのゆく先なんて分かってるけど…
むしろ俺と松本の関係は、前以上に悪くなるのかもしれないけど…

そう思ったら、胸の奥がチクリと痛んだ。


だけど。


初めて知ったこの思いを、俺が……
俺だけはちゃんと受け止めてあげたいから。


俺という人間は、最初から男しか好きになれないのか?

それとも、松本だから、好きになったのか?

自分でも分からないけど。


「松本」
「な、なんだよ…」

自分の気持ちを話しておきたい。

「入学したばかりの頃、道端で猫を拾ってたよな〜?」
「え?『はな』のこと言ってんの?」

『はな』っていう名前つけたんだ…
ちゃんと、家で飼ってるんだな。


「あの時からきっと、俺は松本潤が好きだった」

「すっ、好きだった、って!そんなこと全然分かんなかった…し…」

そりゃ、そうだよ。
その気持ちに気付いたのは、さっきのキスの時なんだから……

自分でも気付かなかったんだから、松本が分かるわけないよ。


「まあ、無理かもしれないけどさ…こんなこと言った俺のこと、キモいなんて、思わないでね……」

「…そんな、こと…」

ずっと、俺が話してる間、真っ直ぐに俺のことを見つめている松本……

ああ……やっぱり、カッコいい…

『好き』に気付いた途端に、もっといろんな気持ちが湧き出してくる…

そんな自分に、笑えた。


「はあ〜、なんかスッキリしたかも。ちゃんと聞いてくれてありがとう。
忘れてくれていいから…」

「忘れろって、そんなこと言うなら。どうして…」

……だよな…ごもっともだよ…でも。


「俺の初恋だから。理由はそれだけ。」
「はつ、こい……」

「じゃ、俺、行くわ。今日はほんとにありがとな!明日からの文化祭、頑張ろうな!」

「お、おう…」

「バイバイ」

振り返らずに、ひとり、教室を出た。


玉砕したけど、
なんだか凄く清々しい気持ちだった。


/ 117ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp