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イチオクノホシ【気象系BL】

第3章 Kissから始めよう




「俺、今まで生きてきて、家族以外の誰かを好きだって思ったこと、なかったんだ…

あ、もちろん、友達のことは、好きだけど、そういう好きとは違うし…」

「あ、当たり前だろ…そんなこと…」

松本は俺の言葉を真剣に聞いてくれている。

『キモい!もっと離れろ』
って、そう言われてしまっても、仕方ない、のに……

「脚立が倒れて、偶然してしまったキスの後、なんだか不思議な気持ちを感じてて…
それがなんなのか、分かんなかったんだけど。
分かったんだ……さっき」

「…………」

「ああ、これなんだ…これが誰かを好きだっていうことなんだ…って」

「……さくらい…」


松本って、心が広いんだ。
こう見えて、実はすごく優しいし…


入学したばかりの頃、
夕方雨が降って。

委員会が終わってから一人で帰ろうとして、その帰り道、松本を見たんだ。

雨の中、道の端に一人でしゃがみこんで、なんか喋ってるから。

変なやつなのかと思ったら、松本は捨てられた子猫を箱の中から抱き上げていた。

「寒かったかぁ〜?…お前、ちっこいなぁ〜…
こんなとこいたら、死んじまうだろ?
俺んち、来るか?」

松本は、子猫をパーカーの胸に入れ、後ろにいた俺に気付きもせず、
子猫に話しかけながら行ってしまった。


そんな姿を見てから……

気がついたら、俺…
松本のこと、目で追ってた。


仲間とふざけ合ってるところ

旨そうに弁当を食べてるところ

女の子とふたりで帰るところ

……………


いつも松本のこと目で追っていたこと、自分でも気付かなかったんだ

見ているからこそ、よく動く彼のいろんな表情を知っていること……


今……気が付いたんだ…


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