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イチオクノホシ【気象系BL】

第3章 Kissから始めよう


【翔side】

誰もいない教室……

嫌なら逃げろと言われたけど、
俺は逃げなかった…

なぜなら、
嫌では、なかったから……


ハプニングだったとはいえ、
あれは確かに“キス”だったわけで…

何しろそれが初めてだったから、
ほんとなら、

『冗談じゃない!なんで男と…
しかも、よりにもよって松本なんだよ!?』
ってなっても可笑しくないのに…


………全然、嫌じゃなかった…


それどころか、
どうして嫌だと思わないのか?

自分でも分からない、
不思議な気持ちのわけを…

知りたかったんだ

だから、
松本がもう一回キスしたいって、
そう言ってきたとき、

俺もそうしたい……

そうすれば、このフワフワした、言葉では上手く表現出来ない気持ちがなんなのか…

分かるかもしれない
そう思ったんだ。


肩に置かれた手が熱い…

首を傾けて、ゆっくりと近づいてくる濃い顔…

でも……すごく…

綺麗だな…


触れた瞬間、

春風のような優しさに、
胸の一番奥のところで、
生まれたばかりの小鳥が、
“きゅんっ”と鳴いた

そっと触れたままの温かいそこから、
全身を包んでいく甘い思い……


………………


わかった


あのときの初めてのキスを
嫌だと思わなかった理由…

フワフワした、
何とも言えない優しい気持ち…

初めて感じる、表現できるWordが見つからない……その訳…


「…どう…だった…?」

そっと俺から離れて、松本はそう言った。

不安げに揺れる大きな目には、
俺が映っている



「……好きだな、って、そう思った」


素直に言葉にした

これが『好き』っていう気持ちなんだって、気付いたから……

それに気付けたことが、
心から、嬉しかったから……



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