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イチオクノホシ【気象系BL】

第3章 Kissから始めよう


「ほら。おつかれ」

床にへたりこんでぼんやりとそんなことを考えてると。

目の前に、ペットボトルのサイダーが差し出された。

「えっ!?」

びっくりして振り向いたら、櫻井が俺に差し出した手と反対の手にも、同じものを抱えて立ってる。

「悪いな。全部運んでもらって。ありがとう、助かったよ」

なんの照れもなく「ありがとう」なんてストレートに口にされて。

なんだか俺の方が照れてしまった。

「お、おう…なんてことねぇよ。これでも、中学んときは野球部だったし」
「ぶっ…それ、関係なくない?」

コロコロと楽しそうに笑いながら、櫻井は俺のとなりにペタンと座って。

ペットボトルの蓋を開ける。

プシュッと小気味良い音が響いて、櫻井のぷるぷるの唇がそこに吸い付いた。

サイダーを流し込むたびに小さく動く唇と、こくんこくんと上下する喉から、目が離せない。


…なんか…

すげーエロいんですけど……


「飲まないの?松本、サイダー好きだろ?」

ぼけっと口を開けてそれを見ていたら、不思議そうに首を傾げられて。


その仕草も、可愛く見える…


「飲む飲む!サンキューな!…って、なんで俺が好きなの知ってんの?」
「なんでって…いつもそれ飲んでるし。だから、好きなのかなって思っただけ」
「え…」


それってさ…
いつも俺のこと見てたってこと…?


とくんとくん、と。

鼓動が緩やかに早くなる。


「…なぁ」
「んー?」


確かめたい

この胸のざわめきがなんなのか


なんで

昨日のキスが忘れられないのか


「どうだった?昨日のキス」

唐突にそう言ったら、くりくりの目が大きく見開かれて真ん丸になった。

「どうっ、て…別に。あんなの、ただの事故だろ」
「そうだけど…俺、おまえの唇の感覚、忘れられねぇんだけど」

ぐいっと顔を近付けると、小さく息を飲む。

「おまえ、なに言って…」
「なぁ。もう一回確かめても良い?」

肩に手をかける。

唇が、小さく震えた。

「た、確かめるっ…て…」
「もう一回、キスしたい」

さらに顔を近付ける。

櫻井は、動かない。

「嫌なら、逃げろよ。それくらい出来んだろ…」

ゆっくり顔を傾けても、やっぱり動く気配はなくて。


そっと

半開きの唇に自分のを押し付けた



櫻井の唇は

すごく甘かった


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