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イチオクノホシ【気象系BL】

第3章 Kissから始めよう


【翔side】

なんだよ、全く。
結局みんな、なんだかんだ言って居なくなりやがって…


「翔ちゃん、ごめんね。明日は頑張る!」
「明日じゃなくて、今日頑張れよ!」
「ほんと、ごめん!玲奈ちゃんが待ってんだ」


ったく……
どいつもこいつも…

雅紀だって、普段『俺もう一生翔ちゃんについてくから』何て言ってるくせに、結局男の友情より、女選んだし…


さっきまで文化祭の準備で賑わっていた教室は、ひとり、またひとりと帰り始めると、一気に潮が引くように誰も居なくなった。

『やっぱり、どうしても赤の差し色が欲しい』って言い張ったはずの村上も気が付けば姿をくらましていて。

結果、もう既に天井に取り付けられたセットの段ボールに、絵の具を塗ることに…


「ったくぅ~…俺、高いとこ、苦手なのにさ…」

ぼやきながら筆を持って上を向いて作業をしていると、誰かがドアから入って来た。

「え…松本…?」

松本は、俺のことを睨んだまま、何も言わない。

なんだよ…強引に引き留めたこと根に持ってんのか?
パワハラ、とか言ってたしな…


「なに?なんか、忘れ物?」

黙ってられると気まずくて、もう一度そう声をかけたのに、松本は相変わらず俺を睨んだまま微動だにしない。

なんだよ…?
何とか言ってくれないと、困るんだけど…
せめて、さっきみたいに文句のひとつも言ってくれよ。


沈黙に耐え切れず、俺は仕方なく乗っていた脚立を下りようとして立ち上がった。


その時……


ずっと上を向いて作業していたせいか、一瞬目の前が真っ白になって…


ああ!
ヤバい…俺…


脚立が倒れ始め、
駆け寄ってくる松本が見えて…


“ガタガタ――ンッ”



気が付いたら松本の腕の中。



しかも、これって……


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