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イチオクノホシ【気象系BL】

第2章 不言色 ―いわぬいろ―


【ニノside】

お金はいらないと言われた瞬間、思考が固まった。

『なんで?どうして??』
って……

俺と雅紀を繋いでいるものは、お金だから…

お金を受け取ってもらえないなら、この関係は成立しない…
そんな風に思ったから。


だけど……


『好きだ』って…

『俺の好きな人として抱いた』

その言葉が、直ぐには理解できなくて…

もちろん、頭では理解したよ?
でも、心が…

雅紀に抱かれながら、目の前のこの人が俺を好きでいてくれたらいいのに…

そんな淡い欲望はあった…
あったけど…


でも、そんなことダメだって。
まだ俺、気持ちが翔に残ってて…
そんなままで、雅紀に好きになってもらう資格はない…って…


いろんな矛盾した感情が、
雅紀に抱かれている甘い時間は、忘れていられた。


『ニノのことが好きだよ』


雅紀のその言葉に、
わだかまりが溶けていった。

雪が溶けるように、ゆっくりと……


『やっぱり、俺も雅紀のことが好きだ』


その気持ちを、認めてもいいの?
俺も好きだって言っていいのかな?


次から次へと溢れ落ちる涙で、
上手く言葉が紡げない…


本とは言わなきゃいけないのに…
ちゃんと伝えとかなきゃ、いけないのに…

でも…

そんな俺の気持ちを包み込むように、雅紀の声は優しく俺を包んだ。


『俺と付き合ってくれませんか?』


真っ直ぐな……綺麗な瞳で。

俺をじっと見つめて…


………いいの?
こんな俺でも、

……雅紀を好きで、いていいの?


答えを言うために、口を開いた瞬間、雅紀はゴクリと唾を飲んだ。


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