第2章 不言色 ―いわぬいろ―
【雅紀side】
俺の腕のなかで、赤ちゃんみたいな無垢な顔ですーすーと寝息を立てる姿を。
時間が経つのも忘れて、ずっと見ていた。
『心の隙間、埋めます』
なんてさ
昔読んだ漫画の台詞使って
人助けをやってたつもりだったけど
隙間を埋めてもらいたかったのは
俺のほうだったみたい
寂しくて
人恋しくて
誰かに温めてもらいたかったのは俺のほう
その証拠にさ
今の俺
すっごくすっごく満たされてる
隙間なんか感じないくらい
俺んなか温かいものがいっぱい詰まってる
それは全部
ニノのおかげ
まだ出会ったばっかだし
ニノが俺の向こうに誰を見ていたのか
俺は知らない
誰を思って泣いてたのか
俺は知らない
でも
知りたいと思う
もっともっと知りたい
深く深く知りたい
そうしていつか
ニノのなか
隙間のないくらい俺でいっぱいにしたい
ニノも
俺と同じように思ってくれたらいいのに…
「ん…」
温かくて柔らかいものが、唇に当たってるのを感じて。
目蓋を持ち上げた。
目の前には、朝の透明な光に彩られた、キラキラ光る宝石みたいな瞳。
「…おはよ、ニノ」
「おはよ、雅紀」
朝の挨拶を交わして、どちらからともなく唇を重ねたら。
また
心のなかが温かいもので満たされた
「へへへっ…」
「ふふふっ…」
あったかくて、くすぐったくて。
思わず笑っちゃったら、ニノも笑ってくれて。
まだ剥き出しのままの柔らかいカラダを抱き寄せたら、甘えるようにしがみついてくれて。
どうしよ…
信じらんないくらい
幸せかも…
「…ちょっと」
しみじみと幸せを噛み締めてたら。
ちょっと低い声で、ニノが背中をとんとんと叩いてきた。
「ん?どした?」
「どしたって…当たってる…」
「当たってるって、なにが?」
「なにって…」
ニノはなぜか耳まで真っ赤にして。
そっと、朝からギンギンに勃ってる俺のマグナムを握った。